2017年の音楽フェスティバル会場に、ひときわ目立つ青色のトレーラーハウスが登場した。これが、JTとMedia Surf Communicationsがプロデュースし、デザインをSTUDIO DIG. が担当して開発した喫煙室“SMOKE CARAVAN”だ。
018: Interior
音楽フェスの高揚感を、クールダウンさせて一服。
落ち着いた青の質感と木のぬくもりが、心地よい休息空間を生み出す。
2017年の音楽フェスティバル会場に、ひときわ目立つ青色のトレーラーハウスが登場した。これが、JTとMedia Surf Communicationsがプロデュースし、デザインをSTUDIO DIG. が担当して開発した喫煙室“SMOKE CARAVAN”だ。
室内に一歩足を踏み入れると、ラウンジルーム全体から木のぬくもりが伝わってくる。天井からシームレスにつながる丸みを帯びたベンチも、そのぬくもりを増長させているようだ。
ベンチに腰掛けてちょうど目の前に位置するのが、世界中の音楽や文化にまつわる書籍が美しく並ぶライブラリー。「音楽好きの愛煙家70’sボーイの部屋」を内装のコンセプトとし、住人の趣味嗜好が垣間見えるようなディスプレイを意識した。通常目立ってしまうエアコンカバーやディスプレイにもスピーカーに使われるグリルクロスを採用し、当時の趣きを現代風に再現している。
そのまま左に目をやると、ジョン・コルトレーンのアルバム「Blue Train」に代表されるLPレコードをはじめ、今回のコンセプトカラーであるブルーの世界が広がっている。レコードは、プレーヤーで自由に聴くことも可能だ。
この青の世界を引き立たたせるべく、棚の背面に採用したのがUltrasuede®。その落ち着いた色合いが、屋外フェスの賑やかさから少し離れて一息つける、プライベートラウンジのような空気を与える。木とUltrasuede®の温かい質感が、自分と音楽の距離を気持ちいいバランスで支えてくれているようだ。
このSMOKE CARAVANは、2017年7月のFUJI ROCK FESTIVALを皮切りに、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、MUSIC CIRCUS、ULTRA JAPANと4つの音楽フェスを巡業。来場者も本を手に取り、レコードを掛け、思い思いの時間をこの場所で過ごしていた。もうひとつの静かな音楽フェスティバルが、そこにはあった。
MEDIA SURF COMMUNICATIONS INC.
都市のカルチャー作りを幅広くプロデュースするチーム。「Farmer’s Market @UNU」「COMMUNE 2nd」や各種イベントの企画運営。紙媒体、ウェブサイトの企画、制作、運営。そのほか、企業のブランディングやプロモーションなど。また「TRUE PORTLAND」「NORAH」などの自社発行の雑誌および印刷物の企画、編集も手掛ける。
STUDIO DIG. 米山 宏介
現代のニーズに合った空間、その空間を表現する上質な素材に重きを置く。クライアントのアイデンティティーを表現するため、一般的にあまり使われることのないオリジナルな素材を掘り起こし具現化している。大事にしているのは「掘る」= DIGというアナログな作業。直接物事に触れた時のリアルな感覚が、インスピレーションに変わっていく。