横須賀新港ふ頭前に位置する水産物の冷凍倉庫をリノベーションして、2013年に誕生した『よこすかポートマーケット』。2019年に一旦閉館していたが、施設のあり方を今一度考え直し、大規模改修も行って2022年秋にリニューアルオープンした。
032: Interior
2022年秋、『よこすかポートマーケット』がリニューアルオープン。
食を通して人と地域をつなげ、横須賀の食文化を世界へと発信する
横須賀新港ふ頭前に位置する水産物の冷凍倉庫をリノベーションして、2013年に誕生した『よこすかポートマーケット』。2019年に一旦閉館していたが、施設のあり方を今一度考え直し、大規模改修も行って2022年秋にリニューアルオープンした。
新しいコンセプトは、“三浦半島フードエクスペリエンス”。三浦半島の新鮮な食材を中心に集め、「食」を通して「人」と「地域」をつなげるマーケットだ。リニューアル前と比較して、売り場面積は2倍に。40cm以上ある分厚い壁を取り払い、倉庫の持つ天高を生かして広々とした空間を作った。
フロアには海産物、農産物、畜産物などの販売店に加えて、多様な飲食店やスイーツショップが一堂に会している。ここでしか飲むことのできない横須賀のクラフトビールや、横須賀港に水揚げされる新鮮な魚介を使った海鮮丼など、地元の豊かな食文化を余すところなく楽しめるよう構成された。
またシーフロントという立地の特徴を生かして、海を一望できる大きな窓や広々としたデッキを設置し、より開放的で心地よい空間に。三笠公園や、猿島へ渡るフェリー乗り場も隣接するなど、三浦半島が存分に味わえる周辺環境も魅力だ。
施設のデザインは、流石創造集団が担当。運営はいちご株式会社で、両者の組み合わせは新しいライフスタイルホテルとして注目を集めた『The KNOT Tokyo Shinjuku』以来である。
ショップや開放的な空間に加えて、注目すべきはキッチン併設のオフィススペース。新しい学びを探求できる場所として、今後は食にまつわるワークショップや、横須賀の食材を使用した料理を振る舞うフードイベントなどに広く使われる予定だ。ラウンジスペースも設けられており、デスクワークや打ち合わせにも使用することができる。
このスペースを象徴するもののひとつが、ライブラリだ。横須賀の歴史や食にまつわる書籍が並び、新たな土地の文化を紐解くきっかけになっている。
ライブラリのあしらいには、Ultrasuede®️を使用。ライブラリの天板にガラスを採用することで光が透過し、スエードの上質感が映えるデザインに仕上がった。薄い青の入ったグレーの塗装壁面に自然光が当たることで、ネイビーブルーが浮き上がる仕組みが美しい。
横須賀がこれまで築き上げてきた歴史と、新時代の感性が融合して生まれた独自の食文化。それらを世界に発信するための拠点に、落ち着いた質感のUltrasuede®️はふさわしい。今後の施設の発展にも注目したい。
流石創造集団株式会社
流石とは漢字で表した日本固有の概念。人々の意表をついて物事を進める事を旨とする。 山の石が水に流されていく様を見て、柔軟な水が、大きく硬い石を動かしていく様から出た言葉と解釈し、世の中全てに流石といわれる事だけを目指して活動する、創造的な集団を作るべく設立。